人間狩り【編集中】




 それは、ほとんど、絶叫だった。耳の痛くなるような金切り声で、今までの鬱憤を晴らすように、喚き散らす。


 まるで、癇癪を起こした子どものようだった。




「…バイバイ」




 静かな声だった。
 



「いやぁああああ!」




 今度は、繭の絶叫が、体育館中に響き渡る。


 千春は、耳を塞いだ────が、渇いた発砲音は、耳が痛くなるほど、鮮明に聞こえた。




 百合香の打った弾は、外れることなく…繭の眉間に命中した。


 百合香は、発砲したその反動で体がグラリと揺らいだが、足で持ちこたえた。



 逆に、繭はスローモーションのように、グラリと体制を崩し、仰向けに倒れて行く。



 隆太郎は、唖然としていて、けれど恐怖に駆られた様子だ。視線を反らしている。



「…一発で死んだかな?」



 人と呼ぶには恐ろし過ぎるような笑みを浮かべた百合香は、繭に近づいて行った。




「ヤアァァァ!」



 それから数瞬遅れて、女子が、一斉に叫ぶ。


 千春も、同様に悲鳴を上げていた。


 一方陽菜は、頭痛が激しくなり、光太の肩にもたれ掛かり呻いている。目の前の出来事を受け入れる状態ではないくらい、酷いものだった。




 (なんで、百合香ちゃん…)



 (なんで、笑っているの)



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