人間狩り【編集中】






 しかし、


「さよなら」



 と、最期を告げられ、二度の銃声と共に、隆太郎は倒れた。呆気無く、倒れた。



「ゔっっ…ああ゛あ゛ぁぁぁ゛!!」



 最期に残した、喉を潰したような叫び。一生忘れられない、耳にこびり付くような奇声。



「………」



 誰ひとりとして口を開かなかった。否、言葉が出なかった。



 さっきまで笑っていた百合香さえもが、険しい顔で、黙り、下ろした銃を見つめていた。黒い塊は、舞台の照明に反射している。






 ピンポンパンポーン───



 忘れかけていた放送が、静寂を遮った。


 みなが我に返り、身を竦めた。





 ────あと、21人。






『トイレ休憩をします。1度全員体育館に出てください』



 この放送が流れると、体育館の鍵が解錠されたような音がした。



 陽菜は無言で立ち上がり、出て行くクラスメイトの後を追いかけるようにして歩き出すけれど、膝に力が入らずしゃがみ込んでしまった。



「大丈夫か…」



 光太が慌てて陽菜の肩を支えた。



 (陽菜、具合相当悪いな…)



 光太は彼女を支えながら、目を細めた。



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