人間狩り【編集中】




 『人間狩り』が始まってから、げっそりと痩けてしまったように見える。



 あれだけの凄惨な出来事が、何度も繰り返され────そして、クラスメイトが狂気に取り憑かれ、殺す瞬間を目にしたのだ。この様子も、当然だ。


 しかし────。




「ありがと」



 陽菜は、光太が何か言い出す前に、短くお礼を言い、担いでもらって体育館の外へと向かう。不穏な空気が流れていた。



 陽菜は、特に最近、具合が悪そうだった。

 突然、怯えたように顔面蒼白になり、顔を顰め、学校のトイレへ駆け込んだり、気持ちが悪いと言い、早退したり。

 放課後付き合いも悪くなった。陽菜の大好きなクレープを食べようと誘っても、“クレープ”を想像して気持ち悪そうな顔をして断られた。



 光太は何かの病ではないかと思っていた。



 だが、先日、光太が母親に、陽菜の家に頂きもののケーキをおすそ分けしてこいと頼まれ、訪問した時、陽菜の姿がなかったのだ。


 その日は平日で、放課後、駅前のカフェにでも行こうと誘ったのだが、断られていた。だから、先に帰っていたのだと思った。


 陽菜の母は、最近、彼女の帰りが遅いと言う。



 これが、何を示唆するか。光太はそれを調べるために、一昨日、陽菜が教室をさっそうと出て行った後、尾行したのだ。




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