人間狩り【編集中】





「キャッ」



 光太の思考が妨げられる。



 陽菜は、突然の強い衝撃に、転びそうになった。支えている光太に、体重を掛けることになった。


 そして、自分では胴を守るように腕で庇った。



「ごめんなさい」




 ぶつかった人物に謝る陽菜だったが────その人物が振り返り、誰か認識して、目を見開く。



「………」



 陽菜とぶつかったのは、心ここにあらずといった、茫然としている、小日向百合香だった。



 何を思っているのだろうか、陽菜の方を見向きもしていない。同様に、光太の方も。



 光太は、自分の体が粟立つのを感じた。人をコロシタ人の目。それは、光を失い、生ける屍の如く、暗いものだった。


 繭と隆太郎を、笑って撃った百合香。それが、恐怖の対象にならないわけがない!





 3人は、立ち止まり口を閉じていた。



 やがて、百合香が、あさっての方向に向かってぼそりと口籠った。




「────私は、悪くない…」



 (そうよ、私は、悪くない。悪いのはこのゲームよ)



 百合香の目に、炎のように力が漲る。それが、“業火”ではないことは、瞭然としていた。




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