人間狩り【編集中】
レッテルを貼られ、そのせいで親しい友だちもできなかった百合香の苦渋。
(だから、殺してもいいでしょう!あのふたりは、私を貶めたも同然なのよ!)
繭も、隆太郎も嫌いだった。あのふたりがグループになれず、孤立した時は、嬉しかった。心底、笑える話だと思った。
私が彼らを殺すのは、因果応報で、自分にやっとターニングポイントが訪れたのだと思った。
結局、死ぬのだからそれはひとときの幻想に過ぎないけれど、百合香はなんとも言えない清々しさを得ていた。
「私、ゲームのルールに従ったのに、みんな、おかしい…どうかしてる」
「百合香ちゃん…」
陽菜は、俯く百合香の顔を覗き込み、瞳を覗く。
何故、陽菜がそんなことをしたのか。
光太には理解できなかった。
陽菜は、見た。笑う百合香を。
殺意の迸る、凶悪な目付きと、頭のおかしい犯罪者のように──百合香は、犯罪者と呼べるかもしれないが──満たされた笑みを。
(百合香ちゃんは、まだ、やる気なの)
陽菜は、彼女が、このゲームを左右するキーパーソンにもなり得るかもしれない、と考えた。
「陽菜…外、行こう」
百合香と陽菜をくっつけておくのは危険な気がして、光太は促す。
「うん」
去って行くふたりの背中を、百合香はじぃっと見ていた。