人間狩り【編集中】





 一方、千春は、体育館の外に出て、2ゲーム目のショックで怯んでいたかなえの背中を擦っていた。


 グループに入れたものの、あんな凄惨な出来事を見てしまった。



 (美琴と亜里沙は、正しかったのかもしれない)



 千春の頭に、そんな考えが過る。


 結局殺されて死ぬのなら、殺戮の苦しみが少ない方が良いと、自ら死を選んだ美琴と、羽村が撃たれ、死んだショックで死を選んだ亜里沙。



 ふたりの決断は早過ぎて、驚きしかなかったが、2回目のゲームを経て、千春もどちらかというと自分で死んだほうが良いのではないか、という方に傾きかけている。



「こんなゲーム、嫌だ…なんで、殺し合いなんてしなきゃいけないの」



 かなえが、嗚咽と一緒にそう漏らす。



「だったら、私も、先に死んだ方がいい」



「宮河さん…」



 千春は、返す言葉が見つからない。



 きっと、自分たちだけじゃない。クラスメイトたちは、気付き始めている。


 生き残れるのは1人だけ。それで生き残ったとしても、どれほどの虚無感と憂目に襲われるかなど、目に見えている。




 するとかなえは、茫然と棒のように立っている百合香を見つけ、分かりやすいくらいに狼狽した。



 百合香は、陽菜と光太の方をずっと、見ている。



 (なんで…?)




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