人間狩り【編集中】




 そういえば、さっき、体育館から出る際に、3人は話していた気がする。千春はかなえに気を取られていて、よく見ていないのだが。


 彼女の眼差しは真っ直ぐで、まるで、さっき舞台で繭と隆太郎を撃った時のような意思の強さがある。




「あ…」



 思わず、千春は声を出した。


 百合香が、千春とかなえの視線に気付き、こちらを見たからだ。



 恨みの籠もった目。




 次は、自分が百合香に殺されるかもしれない、そんな風に危惧した。







「藤沢」



「えっ!?」



 光太に名前を呼ばれるまで、互いに引き合うかのように、千春と、そしてかなえは百合香と見つめ合っていた。



 少しの恐怖から解放され、心拍数が上がったまま、光太の方へ体を向けた。




「どうしたの?陽菜は?」



「陽菜は、トイレに行った。俺、次の放送掛かったら、体育館の放送室に行く」



「放送、室────!?駄目だよ!そんなことしたら、きっと」


 千春は我を忘れて牽制する。かなえも、眉をひそめた。



「でも、そうするしかないんだ。…陽菜にも言っといたから、もし俺に何かあったらよろしくな」




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