人間狩り【編集中】




 真剣な瞳。光太は、生半可な気持ちで言ったのではないと気付く。


 陽菜にも伝えた────彼女は、止めたのだろうか?



 (陽菜の性格からしたら、止めるよね)



 それで駄目ということは、千春には、きっとできないだろう。





 それとも、体調の問題で、それどころじゃなかったのだろうか。





『────体育館に入ってください』



「じゃ、俺、先に行ってくるな。藤沢たちは、できたら陽菜を待ってやってくれ」



 (いやだ…私、この期に及んで、嫉妬してる…!)



 千春の心は、チクリと傷んだ。


 光太は、いつも陽菜ばかり見ている。それは、陽菜が一番大切な人だから。千春は、陽菜と仲が良いからこうして話してくれるだけなのだ。



 光太が、一番乗りであの空間に入っていく。



 (行かないで。光太くん、行ったら駄目だよ!)




「光太くん!」



 そう手を伸ばしかけたのだが、扉は、千春の目前で再び閉じた。


 彼との壁のようだった。確実に、届かない壁が、光太との間にはある。




 放送室なんかに入ったら、放送を流している人間に、殺されてしまうかもしれない。




 頭に過ったのは、光太の瞳が光を失い、流血して死んでいる様だった。





「光太くんっ!!」



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