人間狩り【編集中】
みな、整列して待っていたが、時計の長針が休憩が終わる時刻を指しても、放送は始まらなかった。
本来ならゲーム開始の時刻から3分経っても、なんの音沙汰も無くてみな、焦燥に駆られる。無言の数分間が、永遠に感じられるほど緊迫が漂っていた。
啜り泣きする音だけが、体育館に満ちる。
「馬鹿じゃないの…」
突如、口を開いたのは、御笠優香だった。
優香は、優等生キャラで、愛読書はシェイクスピアです、などと真顔で言うような穏やかな女子である。
実際、学級委員を務めていて、教師たちから気に入られているし、生徒たちからも定評がある。それを、鼻に掛けず、程よい謙虚さが彼女の人気の秘訣だ。
千春とどことなく、似た雰囲気を持っているが、彼女は、千春にはない、一本の真っ直ぐな芯が、自我がある。
「ねえ、みんな!考えようよ!どうしたら、みんなが生き残れるのか…このままじゃ、無駄死にするだけだよ!」
優香の涙声に、クラスメイトたちはどよめいた。
そして、
「そうだ、きっと何か策があるはずだ」「絶対、逃げられる方法がある!」「武本、怪しくない?もしかしたら武本が犯人かも!」
優香の影響力は絶大で、ほとんどの生徒が、ポジティブ思考に切り替えられた。