人間狩り【編集中】
「槍と、銃…槍と銃」
千春の、考えるときの癖。つい、口に出してしまうのだ。
実際に口に出して思案することは、脳科学的にも良いと証明されている。千春は、だから学力が高いのかもしれない。
しかし、今回ばかりは見当が付かない。
(────深海色の、襟?)
ふと、霞んだ景色が浮かぶ。それは、セーラー服だった。千春の、陽菜の、中学の時の制服だった。
けれども、それ以上先は霧がかっていて分からない。
「ちぃ、槍と銃って、『もうじゅう狩り』ゲームより、あたしはあの本の内容に似てると思う」
「陽菜?」
陽菜は、千春が槍と銃に着目していることに、陽菜は気付いた。千春が思い出したかったことにも。千春は陽菜の言葉に耳を澄ませる。
「『雑木林』だよ。元刑事が、世に、昔の捜査の惨さと、粗雑さを訴えたっていう、あの」
────『雑木林』。
千春の目が見開かれる。驚愕に満ちていく。
「『雑木林』…そうだ、それだよ!!」
思わず大声を出したため、みなの注目を集めてしまった。
しかし、それをみなに知ってもらう良い機会──もしかしたら何か分かるかもしれない──だと思い、千春は語り出す。