人間狩り【編集中】
「私と、あと陽菜が読んだことある本のことなんだけど」
千春は徐に、『雑木林』という本の概要を語る。
その本に出会ったのは、中1の夏の休みの時。千春と陽菜は、カラオケで遊んだ帰り、書店に寄った。
そこで、陽菜は『雑木林』というタイトルの、元名刑事が執筆した、実録の、つまり実際にあった事件を、詳しい情報は伏せて記した本を手に取った。
本来、陽菜は然程本に興味はなかったのだが、その本だけは、特別な何かを見つけたかのような眼差しで見つめていたのを思い出す。そして、即刻購入したことも。
千春は、陽菜から借りてその本を読んだ。
『雑木林』。そのタイトル通り、雑木林で起きたとされる事件が記されている。
名前は伏せられていたが、きっと調べればすぐにヒットするはずだ。当時、売れに売れ、20万部のセラーとなり、事件に関しても掘り起こされていたし。
「約20年前の事件が元になってるんだけど、いわゆる、迷宮入りになってて。その本では、同じ時期に発生した大事件に注目が行ってて、そのせいで捜査が行き届かなかったって書かれてた…よね?」
みな、千春の話に聞き入ってくれた。
陽菜は、頷く。