人間狩り【編集中】




「結局、何なんだろうこのゲーム」



 先程までの前向きな雰囲気は一転、『人間狩り』の意味すら分からず、話は滞ってしまった。


 犯人が武本というのは前提となっているが、本当かどうかも分からない。それだと、不明瞭な点が多く浮かび上がるからだ。


 『人間狩り』のおぞましいルールから、この世のものではない何かが働きかけてゲームを自分らにさせている、と考えてしまうが、無理もなかった。



「もし、先生が『人間狩り』の主催者だったら、放送室にいるってこと…かな」


 かなえが、ふと漏らす。


 その時だった。




「うるさいよ。何詮索なんかしちゃって、思い上がるなよ」



 百合香が、怒りをあらわにした。狂った指導者のように、舞台の手前をふんぞり返っている。


 静かに燃える百合香。『人間狩り』について知っているような口振りだ、と千春は思ったが、実際は、違う。



 (あんたらなんかに、このゲームの真意が読めるはずない)



 なんとしても、クラスメイトを卑下したかったがために、自分が特別な存在であることを知らしめたかったがために、そう発言したのだ。


 百合香が、天啓を受けて、今この場にいるのだと。




「いい加減にしろよ」



 そう吐き捨てて、ブレザーの懐から何かを取り出す。



「嘘────!」



 優香が震えた。


 何故なら、取り出したのは、銃だったからだ。




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