人間狩り【編集中】




 実際そうだった。

 だが、自己犠牲、ではない。自分が死んだとしても、いずれみな、死ぬ。だから、さっさと死んだ方が辛い思いをなくて済む。


 優香は迷いを捨て、生唾を呑み、舞台へ立つ覚悟を決める。



 (みんな、結託し掛けていたけど、結局のところ、私らの命は“主催者”の手中にあるんだ)



 機械音が、2人の名を告げたこと。それが、折角立ち上がろうとしていた優香を、絶望の淵に追い込んだのだ。


 ゲームの運営者は、遊び心を以ってして執り行っている、と実感せざるを得ない。どうしようもなく、悔しくて、怖くて、心の底から震え上がった。


 そして、もうひとつ。命を散らしてでも、成し遂げたいことが優香にはあった。



 (────どうせ、死ぬのなら私は犬死になんかしてやるものか)



 舞台だ。きっと、舞台になにかヒントが隠されている。



 指名されたふたり、健太とかなえに殺される羽目になっても、少しの時間さえ稼げれば、何か見つけられるかもしれない。





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