人間狩り【編集中】








 健太の鋭い眼光に、促される。



「はい、下さい……!!」



 所詮、自分は弱い人間だ。今まで人見知りな性格のせいか孤立してきて、暗く陰湿な人生を送ってきた。


 (この銃で、変えられる────?こんな、劣等感から抜け出せるの?)



 それは、否だ。自分の手を血に染めたところで、きっと、このゲームから抜け出せることはない。そして、人を殺してしまえば二度と、潔白な自分には後戻りできない。


 舞台に染み付いた鼻孔をつく鉄の臭い。ゲームで見てきた、惨い殺害シーン。それは、かなえを狂わせてしまった。正常な判断を、奪ってしまったのだ。




 銃を手にすると、その“重み”に、支える足がふらりと揺れた。けど、正気には戻れない。


 この引き金を引けば、彼らを殺せる。きっと、私は変わることができる。


 そう思うと、愉快だった。待ち望んでたものが得られる、幸福感。ただしそれは、間違った幸福感。

 トリガーを引けば罪の後悔しか待っていない。




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