人間狩り【編集中】





 皐月は、空気が抜けたように息を吐き出し、白目のままゆっくりと生き絶えた。壮絶な苦しみは終わった。


 人とは思えない、皐月の無惨な成れの果て。また1人、絶命してしまった。


 そして、体育館中に悲鳴が巻き起こる。




「うっ…!」



 千春は、胃の中のものを戻してしまった。彼女だけでなく、見れば同じ輪にいる、篠原遥香や米本桜も、ハンカチを口元に当てている。



 陽菜は目を瞑り額に脂汗を滲ませていた。




「惨すぎだろ…槍」



 同じく輪の中にいる、山口駿が薄目で舞台を見て震え上がった。それに宇田川颯太や七瀬郁も力なく頷き、鼻をつまむ。漂ってくる激臭に耐えるためだ。



「嘘…嘘だよ、なんで皐月っ」



 瞳から透明な涙を零し、皐月の名を呼んだのは桜だった。


 桜と皐月が付き合っていたのは既知のことだったので、いたたまれない重々しい空気が生まれる。



「皐月は死んでない!!!死んでなんかない!!!!」



 リミッターの外れた音量で叫ぶのも、無理なかった。




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