人間狩り【編集中】



 首を左右に振り、茶髪を揺らす桜。隣に座る遥香が、眉を下げ自らも苦しみながら、桜の肩に手を乗せる。



 桜の心は、千々に乱れていた。


 この13人の輪ができた時、皐月は自ら輪に入ることなく余ったのだ。桜に屈託のない笑みを最期に見せて。


 桜自身もそれに大人しく従ったが、いざ、彼氏の皐月が惨殺されるのを見ると、この上ない苦しみに襲われた。心臓が槍先で抉られたような苦痛。



 (ああどうして、皐月…。でも、私もすぐに逝くからね)



 先程まで血を通わせていたクラスメイトたちが死に、大好きな皐月が死に、そして自分も、やがて死ぬのだろう。ひどい頭痛に襲われる。精神が乱れ身体にも異常を起こしたのだ。


 桜は、痛切に満ちた表情で俯いた。





「ごめん…松川」


 間髪入れず、健太が次の行動に移す。


 健太は、しおりとはそこそこ仲が良く、お調子者と天然キャラのふたりがよく他愛のない話をしていたのをクラスメイトたちは知っている。


 彼女は戦慄した。ただでさえ、皐月が殺されたのを目の当たりにし、萎縮していたのに、今度は自分が殺されるのだ。



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