時空を越えた先に君がいた。



私は何もできなかったのに

目の前にいる幸は私を守ろうと
戦ってくれている


…幸


自然と涙がこぼれた



「舞花ちゃんから手をはしなさいよ!!!」


幸はこれでもかと
いわんばかりに叫びながら走ってきた



「うるせーんだよ!!」



叫びながら走ってくる幸に
1人の女子がそう言い返すと
幸を思いっきり押した



幸は女子に押されバランスを崩し
フェンスに叩きつけられた



かと思うと


フェンスはぐらりと後ろに傾き


幸を連れてそのまま屋上から
落ちて行った




…え



幸?



幸?




何が起きたの?




私を押さえつけていた女子の力が
一気に抜けた

私はすかさず
フェンスが落ちたところへ駆け寄った


下を見るとピクリとも動かない

頭から血を流す幸と

痛々しくねじゆがんだフェンスが

目にうつった




…嘘



嘘だ。




幸!



幸!




「幸ー!!!」




私は産まれて初めて目の前で
大切な人を失った



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