時空を越えた先に君がいた。
どれだけ走っても母と父の姿は
見つからなかった。
そろそろ疲れが出てきた時だった。
ぽつぽつと雨が降ってきた。
冷たい雨粒が僕に降り注ぐ。
じわじわと着物が濡れて
重くなってきた。
…もしかすると
すれ違ったのかもしれない。
雨も降ってきたし…
僕はそう考えると家に戻ることにした
「あー…あれよ…」
帰る途中に人だかりができていた。
「わ…これは酷いわ…」
「夫婦そろって鬼に殺されるなんて…」
人だかりから聞こえる会話に
思わず反応した。
僕はとっさに人だかりをかき分け
みんなが見ているものの
ところへと近よった。