時空を越えた先に君がいた。
「怪我はないですか?」
ヨルが心配そうに私の顔を覗き込んだ
「うん…私は大丈夫」
私はポケットの上から
カイの探してた石を握りしめた
なんだろう…
こんなにもお互いを憎み合って
分かち合えない関係
辛くならないのだろうか
苦しくないのだろうか…
私は胸が傷んだ
「狙いはなんだ?あの子か?」
ネオはカイに問いかけた
カイは一瞬、驚いた顔をすると
力なく笑いながら
「ちげーよ。火の石をなくしたんだよ。ここら辺に飛んで行った可能性があるから探しに来ただけだ」
そう答えた
火の石
きっと私が持ってる石のことだ
「火の石?…あぁ。火を操る鬼には必要不可欠な大切なものの事か」
「そうだ」
ネオは火の石を知っているようだった
「だったらあの子を巻き込む必要はないだろう?1人で探せばいいものの…やはり…」
ネオはカイが私を狙って来たと
疑っているようだった
…違う
一緒に探し始めたのは私が言ったから
「ねぇ、ネオ!」
私が自分から探そうと言い出した
ということを伝えようとした時
「…俺が頼んだんだよ。探してくれって。別に能力持ってない奴は眼中にねぇよ」
カイはぶっきらぼうに告げた
…え、違う
カイは頼んでない
私が借り返すために一方的に…
カイに視線を向けると
カイは鋭い目つきで私を見ていた
私に
本当のことを言うな
そう言っているかのように
…結局私はそっと目をそらし
本当のことを言うのをやめた