時空を越えた先に君がいた。




心地いい風が吹く


眩しい光が目にしみる



私はゆっくり目を開いた




……私は気を失ってしまっていたらしい




「大丈夫?!」



私の様子を伺うように
こちらを見ているのは幸にそっくりな
チイだった



「……ぁ……うん大丈夫」



自然豊な気持ちのいい原っぱの木陰に
私は移動されていた


「チイが運んでくれたの?!」



チイは小柄でとても1人で
私を運べるようには見えない……


私は驚いて体を起こした



「あ、うん!私意外と力持ちなんだよ!」



チイはニカっと笑った


「ごめんね、会って間もないのにこんな迷惑かけて……」



「気にすることないって!これも何かの運だよ!君の名前は?」


暗い表情の私とは裏腹に
チイは明るく振舞った



「舞花」


「綺麗な名前だね!」



「ありがとう」




幸にそっくりなチイは
本当に何から何まで幸そのもので
私の心臓はうるさいままだった



でも、また幸に会えたみたいで
嬉しくて自然と心を開いていた



チイとは仲良くなれそうだな




あの後、チイは原っぱから町まで
案内してくれて別れを告げた


また町に来た時に会えたらいいね


そう言いあって手を振った






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