【短編】ing
「杉谷君こそ、早く来すぎじゃない?
学校そんなに楽しみだったの?」

私は席につきながら、少し拗ねたように言ってみた。


そしたら、杉谷君はイスごとこちらを向いて、私からお菓子の入った袋を取った。


「お菓子が楽しみだったんだって」


そう言う杉谷君は、なんでか耳が赤かった。


「今の…………嘘臭い……かな?」


お菓子を一つずつ袋から取り出す杉谷君は、伏し目がちになった。


私は意味がわからなくて、杉谷君?と呼んでみた。


伏し目がちになった杉谷君は、手の甲を自分の口に当てて、恥ずかしそうに呟いた。



「まさか夏休み前に書いた落書きに、返事が来ると思ってなくてさ……。
……嬉しかったんだ…」

目の前が真っ白になった。
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