【短編】ing
「あのさ、松永さん……今日……」

「おはよう、貴絵ちゃん。
久しぶりだね」


言葉と共に脇のドアが開いた。
耕士君だ。

何かを言いかけてた杉谷君の、柔らかい笑顔が一瞬にして凍りついた。


「杉谷もついでにおはよー?」
「……オハヨウ」


耕士君は自分の席に荷物を置くと、私の隣りの席に着いた。

そして、杉谷君が手にしていたお菓子をみると、バカにしたように言った。


「朝からお菓子買い込み過ぎじゃない?
夏休みのクセ抜けてないんじゃない?」


それは、杉谷君に言われた言葉だったけど、買い込んだ本人の私は、自分に言われたようで、目の奥がじんとした。
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