【短編】ing
向かい合ったままだと杉谷君の顔が、表情がはっきりとわかる。

私は見たくなかった。
だから先生が来たのを良いことに、前を向かせようとした。


「…杉谷君、先生きたよ?」

私の言葉に、はっとしたのか、杉谷君の顔はもとの笑顔に戻った。

その笑顔は、いつものような自然な笑顔じゃなくて、造られたようだった。

彼はそのまま前を向いた。





先生が、今日1日の流れを話し始めた。

1日の流れの説明が終わると、時間が余ったのか、『先生の夏休み』が始まった。

みんな笑ったり、文句を言ったりふざけたりして、一瞬『受験』ってコトバを忘れた。


< 46 / 55 >

この作品をシェア

pagetop