【短編】ing
掴まれた私の手首はみるみるうちに熱くなって、それが恥ずかしくなって、杉谷君をまともに見られなかった。

そのまま私はうつむいて、空いてる方の手で顔を隠した。


「お昼、食べないの……?」

私の言葉に、杉谷君の手は離れた。
同時に、ごめん、と謝られた。
それから、無言のまま教室に戻った。


―――私は、イヤじゃなかった………。



今日は勉強ができそうにない。


夏休み前よりも、私は彼を意識しすぎてる………それが原因。



教室の壁掛け時計を見ると、12時になるかならないか微妙な時間だった。

私は決心した。


「あのね、杉谷君……」

私の言葉に、彼は不安そうな表情をした。


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