【短編】ing
「……杉谷君、」


私が呼ぼうとすると、杉谷君は「待って」と微笑んだ。

「塚田のこと名前で呼ぶんだから、俺のことも名前で呼んでよ」

「いきなり!?」

驚いたような顔をする私に杉谷君は照れたように笑った。

「なんか自分、嫉妬深いみたいだからさ?」


私は、彼の照れた笑顔につられて笑ってしまった。


「あと、俺には『貴絵』って呼ばして」


そういうと杉谷君は私をぎゅっと抱きしめた。


心臓がドキドキ鳴っているけど、それは2つ分に感じた。
それはつまり、杉谷君もドキドキしてるってこと。


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