愛し君へ、愛をこめて



ところ変わり、いつの間にやら一人でふらつき歩いているカルハは、白猫の姿でとある場所で立ち止まった。

見上げる先には、古びた教会。廃れた感じがするが、今はもう使われていないのだろうか。

ふと、カルハは尻尾を揺らして教会の中へ入っていった。


中は埃まみれ。
時々隅で鼠の泣き声がする。

白猫の姿をしていれど、さすがに鼠を好んで食べる趣味はないため、さほど興味もなしに教会の中を歩んでいく。

と、ふいに頭上から声をかけられた。


「なんだ、猫なのね…」

「にぃ?」


頭を上げれば立っていたのは、くすんだウェディングドレスに身を包んだ、可憐な女性。

色白というよりは、蒼白い肌が不健康そうに見える。

しかしこの女、どこか違和感があるのだ。
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