愛し君へ、愛をこめて
「当ったり前やで!世界一…んにゃ、宇宙一のべっぴんさんやからなあ、姐さんはっ。僕やなくてもみぃーんな惚れ惚れするさかい。…まあ、求愛するなら話は別やねんけどなあ」
「怖い愛情だな。いや、ただの執着かい?」
「アホ言わんといてや。僕んは純粋な愛や。姐さんに対する清らかな愛は、なんぼのもんにも変えられへんし負けるわけもあらへんし。
ああでもっ、せやなあ。姐さんは優しすぎるねんから、僕以外にもその綺麗な手を差し伸べるんやっ。嫌やなあ、虫酸ぅ走るなあ。どうせならいっそ、僕だけ見といて欲しいんに」
「…さいですか」
十分な執着だよ、という言葉は飲み込み、「で、」と白猫は続ける。
「なにをそんな空を見つめているんだい、鶴。なにか見えたのか、例えば…。私と同じ『悪魔』だったり」
含んだ言い方をする白猫に、【鶴】と呼ばれた青年は「アホ」と息を吐く。
「ここは日本やで。ぎょーさんおるんは悪魔やのうて、妖やきに。ちゅーか何もおらへんし、空ぁ見とったんはただの気まぐれや。気にすんな」
「なら、いいんだ」
どこか安心しきった声色で返事をし、白猫はその姿をぽんっと変えた。