愛し君へ、愛をこめて
この一言で、鶴嫁怪(つるかけ)は静かに確信する。
嗚呼、この男はユーレイなのだ。
そして、
「…彼女はんと、永遠の愛を誓うつもりやったんやね」
「そうだよ。死ぬまで一緒に生きよう、って。だからまだ、彼女を見つけるまで死ねないかなあ、なんて」
自分が『死んでいる』ということに気づいていない。
ははっと笑う彼は、照れ隠しに頬を掻く。
その仕草も
その笑い声も
まるで生きていると錯覚してしまいそうだが、彼は違う。
この男性は正真正銘、死んでいる。
『死んだ』と自覚がないまま、今も現世に留まったある意味『呪縛霊』だ。
そしておそらく、その彼女も…。
「もし、」
「?」
「もし、彼女はんが死んではったら、あんさん。どないします?」
これは『もしも』の話ではない。
けれど彼は、『もしも』の話だと信じて疑わないだろう。