愛し君へ、愛をこめて

が、しかし。

すぐに一変して『にぱっ』と笑う男性に鶴嫁怪(つるかけ)も今度は面喰らう。


「なーんて。今の、彼女が言ってた台詞なんだけどね」

「彼女はんが…?」

「そう。だから俺も笑う。笑っていれば幸せになれるし、俺の幸せは彼女といること。
笑っていればいつか、彼女に会えると思うから。思うっていうか、信じてる?」

「…信じてる、ねぇ」


彼は彼女を信じており、
彼は彼女を愛している。

なんて一途だと思う反面、それはどこか共感できた。


「なあ、あんさん。もし彼女はんに会えんまま死んでもうたら…」

「やだなあ。物騒なこと言わないでよ。…俺は死なない。死ぬわけにいかないんだ、彼女に会うまで」

「……。」

「それでもいつかは死ぬんだけれど。でもせめて、最期くらいは彼女の声が聞きたいかな」


せめての最期の願い。
叶うならば、どんなことも惜しまない。
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