愛し君へ、愛をこめて
「彼女はんに名前呼ばれるまで、死んだらあきまへんで。そんときは僕がこの世に留めたるさかい」
「わお、君ってばすごいこと言うね。うん、彼女の次に好きになれそうだ。や、家族の次かな」
「どっちでもええわ。ただ忘れたらあかん、それだけや」
ふっと微笑みそう言うなり、鶴嫁怪はベンチから立ち上がって歩み始めた。
「僕もなんや、あんさんの溺愛っぷり見てしもうたら好きな人に会いたくなってもうたわ」
「…じゃあ、これでサヨナラってことだね」
「せやな。ほな三隅はん、さいなら。彼女はんのこと大事にするんやでー……、っとと。
そういや彼女はんの名前、何て言いはるん?」
ふと気になった鶴嫁怪(つるかけ)は三隅に尋ねる。
これがきっと、最後の問い。