愛し君へ、愛をこめて
照れ隠しのようなその仕草に鶴嫁怪(つるかけ)は更に目を大きくした。
「いやなに、なんだか無償に呼ばれたくなってね」
「は…?わけわからんし、ちゅーか何で僕が呼ばなあかんの」
「アホらし」
そう呟いて屋敷に戻っていく鶴嫁怪に、カルハはピタリと足を止めた。
アホらしい…?
なにも、そこまで言うことないじゃないか。
ただ、呼んでくれるだけでいいのに。
むぅぅ、カルハが拗ねて頬をぷくっと膨らましているなどいざ知らず。
さっさと歩いていく鶴嫁怪に、さらにカルハの不満が募っていく。
そのせいだろう。
カルハの内で、ふと出来心が浮かんだ。
なにも私は悪くない。
これくらい良いだろう。
なにより私は、
「(悪魔なんだからね。)―――鶴!」
あくまでも、君に振り向いて欲しいんだから。