愛し君へ、愛をこめて

大声で自分の愛称を呼ぶカルハに、鶴嫁怪(つるかけ)もまた不満が爆発し、大声を出してしまう。


「せやから【鶴】やて呼ぶなっちゅーに!どついたろかテメ…」


『テメェ!』と、最後まで鶴嫁怪は言えなかった。

振り向き様、カルハの顔がすぐ目の前にあり、頬を挟まれるなり耳元で何か呟かれたのだ。

それは鶴嫁怪への意地悪には十分すぎる効果を発揮した。


しばらくポカーンと呆けていれば、クスリと笑ってカルハは屋敷内へと帰っていく。

『ぴしゃん!』と戸が閉まる音がして、やっとのことで鶴嫁怪は正気に戻った。

その刹那。



「っ…カルハ―――――――ッ!おちょくんのも大概にしときぃ!今日とゆう今日は許さへんでぇええ―――――――ッ!!!」



顔を真っ赤にして鶴嫁怪はカルハを追いかけにいったという。

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