愛し君へ、愛をこめて



鶴嫁怪(つるかけ)の怒号を耳に、カルハは屋敷の一部屋でクスクスと笑う。


「ほらね。鶴は単純だから、結局私の名前を呼んでくれるんだ。呼ばずにはいられないのさ」


そんなこと、彼は気づきもしないだろうけど。

先程の言葉の意味も、彼は分かってくれたのだろうか?

あれはおちょくりなどではない。
カルハにとって、本気の言葉だったのだ。


「(それもまた、教えてやらないけどね)」


クスクス笑い続けるカルハは、子供のような無邪気な笑顔で笑っていたという。


嗚呼、愉快愉快。
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