愛し君へ、愛をこめて

固まる鶴に、容赦なく少女のじっとりとした視線が突き刺さる。


問題の鶴の髪は、少し伸びた短髪である。しかし髪色に問題が。

なんと、鶴の髪は抹茶色なのだ。これだけでも目立つというのに、レモン色のメッシュときたものだ。

人の事を言えないだろう。
呆れる少女の気持ちもわかる。


「う、うるさいわっ。僕にはこれが合ったスタイルなんや!」

「それを言うなら私もだよ、鶴」

「ッツ、ああもうっ!わかったわい!…って、ゆーか今更やねんけど何僕ンことフツーに【鶴】呼んでますのん?!
僕ン名前は【鶴嫁怪】(つるかけ)。
【鶴】や呼んでええんは姐さんだけや!」


「おやおやあ?私と君の仲じゃないか。君の使うドナ語で言えば、『いけずぅ』といったところだね」

「黙れやクソ悪魔ッ!」

「黙らないし黙れなーいっ。だって私は口が武器な嘘つき悪魔だもーん」

「だもーん、や、あらへんわっ!くっそ…、慣れなれしくすんなっ、ちゅーか近寄んなッ」

「それも無理な話だ。何せ私たちは主従関係を結んでいるんだから。それも、君から面白がって結んできたんだろう?」

「むぐぐっ…」

「諦めな、つーるっ」

「っ、せやからっ……、

鶴って呼ぶなぁぁああああああッ!!」


頭に血がのぼった鶴…、いや。【鶴嫁怪】(つるかけ)の怒声は、屋敷どころかご近所中に響いたという。
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