真っ直ぐ
突然のジュースに戸惑っていると、川崎は笑う。
「この前のお礼」
「何したの?由宇」
俺が聞くより先に珠貴が聞く。
「この前あたしがやり忘れた委員の仕事してくれたの清水くんでしょ?」
先週の金曜…早紀と別れた日。
なんか遣り切れなくて教室に戻った。
することもなく、教室を見渡すと、教卓の上にファイル。
『三学年夏休みキャンプ』
そう書かれたファイルの中には、たくさんの企画が書かれてた。
一番上に挟まれてたプリントはその日までの提出で。
ただ担当の教師に持っていっただけ。
「せっかく考えてたのにもったいないと思って…」
俺がそう言うと、川崎はまた笑って言う。
「普通の人なら放っておくもん。ね?いいところでしょ?」
川崎はさらっとそう言うと、鞄を手にとり教室を後にする。
残された俺と珠貴は呆然としていた。
「……やっぱりいいな、川崎菜月」
沈黙を破るように珠貴が言う。
中3の夏休み前だった。