真っ直ぐ
「夜のドッキリ肝試しのペアのくじ、今からバスの中で引きます」
夏休みキャンプの行きのバス。
一番前で川崎が言う。
揺れるバスの中、覚束ない足取りで一人一人にくじを引かせる。
「代わろうか?危なっかしい」
俺が言うと川崎は笑って言う。
「じゃ、男子お願い」
川崎と手分けして、くじを引かせる。
バスの中は誰が何番だの誰とは嫌だなどと大盛り上がり。
全員にくじを引かせ、余ったのを開く。
…何も書かれてない。
不思議に思っていると、川崎が横から覗き込んで言う。
「清水くんはお化け役かぁ。残念がる人一杯いるだろうね」
「川崎は?」
「あたしは実行委員だし。もちろんお化け」
「男子も悲しむな」
川崎はそんなことないよって照れながら否定した。
黄色のシャツがよく似合う笑顔だった。