ないしょ恋愛 〜アイドルとあたし〜
「風ちゃん、着いたわ。車椅子とってくるわ。ちょっと待っててね」
「あ、ありがとうございます」
「・・・・・」
「・・・・・」
今までずっと緑川さんとお話していたから2人になると会話が…
重い沈黙が流れる。
「…なあ」
「…え?あ、なんですか?」
いきなり話しかけられて驚く。あたしに…話しかけてるよね。
「家、どこ」
「え、家、ですか?」
「その足で帰れねえ」
あっ、そっか。そこまであたし、考えてなかった。
「柏原町にあるマンションです」
「あのオレンジ色のか、送ってく」
「そんな!診察まで待ってもらえないです!帰りはタクシーか何かで帰るので!大丈夫ですよ!」
「…そうか」
ふと窓の外をみると辺りはもう暗くなり始めていた。