ないしょ恋愛 〜アイドルとあたし〜
「----カッート!」
演技が終わる合図と共に俺は愛川さんから離れる
撮影が終わり俺はマネージャーの緑川さんの元へと向かった。
「翔真、最高よ。」
「ありがとうございます」
ぺこりとお辞儀をして差し出されたミネラルウォーターを口に含む。
「次は雑誌の取材、あとは新曲のダンスレッスンが入っているからね」
「はい、分かりました」
「松山さぁ〜ん!今日はありがとうございましたぁ!松山さんってぇ、キスお上手なんですねっ」
「え?あ…はぁ……?」
いきなりやって来た愛川さんに緑川さんは眉を顰める。
「あのぉ、松山さんの連絡先、教えて欲しいんですけどぉ、良いですかぁ?」
「え?…ぇ、っと……」
本当はこんな人に教えたくない。教えたとして、これからどうするんだ?
もう、今日で撮影は終わったのに。
でも、どうやって断れば良いのか分からずにうろたえていると
「翔真、時間が間に合わないわ。はやく行きましょう」
緑川さんが助け舟を出してくれた。
「愛川さん、すいません。じゃ!」
そう言って俺はスタジオから出て行った。