【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
彼との待ち合わせ
そよ風が吹き、川の水がサラサラと流れる音が聞こえてくる。
もう、春の面影も薄くなってきている5月。
桜は緑の葉をたくさん身に纏い、太陽の日差しは明るさを増して辺り一面を照らしている。
光を浴びた川の水はキラキラと輝いている。
生い茂る草をよけながら、私は川岸の大きな岩の近くへ行って寄り掛かった。
「ふぅ〜。早く着きすぎちゃったなぁ」
私、藤井凪咲(フジイナギサ)
21歳の大学四年生!
付き合って2年くらいの
彼、佐倉隼人(サクラハヤト)
24歳の会社員
と、今日は久々に会えるってことではりきりすぎて、一時間も前に着いちゃった。
とりあえずバッグから携帯を取り出して、大好きな隼人にメール。
――――
隼人〜講義終わったよ〜。会社の近くの川沿いで時間潰してるね!
――――
送信っと。
さ〜てと、時間まで何しようかな?
なんて考えてたんだけど……。
寝不足気味だったせいか目蓋が落ちてくる。
やばっ、寝そう……。