【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
「置いてくぞ?」
「あ、待ってよ〜!」
私はその花が気になりつつも、後ろ髪を引かれる思いで、マンションの中に入っていく隼人を追いかけていった。
隼人の部屋はマンションの最上階の八階。
ベランダからはさっきの庭園も見えるし、隼人の会社も、その近くの私がいた川さえも見えるほど見晴らしがいい。
空には満天の星。
夜の暗闇にライトアップされた光の数々。
どんな夜景スポットより、私はこの場所が一番のお気に入り!
そんなベランダで夜景を眺めている私のもとに、隼人がゆっくりやってきた。
「別に着替え覗いてもいいのに」
「ばかっ! 恥ずかしいもん!」
部屋に入るなりスーツを脱ぎ始めた隼人から逃げるようにベランダに来た私。
もちろんエッチだってしてるし、何度も裸見てきたけど……。
それとこれとは別問題。
そういう雰囲気の時じゃないと無理!
普通の時は見れないよぉ。
「……俺なら見れるけどな」
不敵な笑みを浮かべながら笑う隼人。
う〜っ、それも無理……。