【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
私へのプレゼント
「……あぁ、この花?」
そう、さっきの花。
あの庭園で見た花。
透明なセロファンと赤いリボンでラッピングされている。
明るい場所で見ると、さっきよりも色鮮やかで綺麗なその花。
「どうしたの、その花? 隼人、普段花とか買わないじゃん?」
それに比べて私は大の花好き!
プレゼントには真っ赤なバラの花束が欲しい!!
……だなんて言っているくらい。
隼人は恥ずかしくて買えないとか言ってるけど。
何かを考えているかのように黙り込んだ隼人は、頭を抱えだした。
「どうしたの?」
私の言葉に反応し、テーブルの上にある鉢植えをそっと手に持つと、目の前に差し出してきた。
そして、寂しげな表情で言ったんだ。
「これ……凪咲に」