【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
「えっ! 私に!?」
花のプレゼントなんて初めて。
突然の予期せぬ出来事に、何だか何かが胸の奥から込み上げてくる。
目は自然と潤んでいく。
嬉しさのあまり、さっきの寂しげな表情のことなんてすっかり忘れてしまう。
この時、少しでも気にすればよかったのに……。
両手でしっかりと握りしめた鉢植えを、私は子供のように顔を緩ませながら飽きもせず眺めていた。
「ありがとう、隼人!」
「凪咲……」
「ん? どうしたの?」
「あのな……」
「あっっっ!!」
言葉を遮った私を見てフフッと笑う隼人。
「先にどうぞ?」
隼人の言いかけた言葉も気になったけど、私は先に質問をしてみた。
「何で花をプレゼントしてくれたの?」
そう。
今日は特別な記念日でもなければ誕生日でもないわけだし。
どうしたんだろう?