【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
「おき……な……」
……あれぇ〜、何か揺れてる。
「起きろって、凪咲っ!!」
あっ、隼人だぁ。
「んー、おはよ〜隼人ぉ」
私は眠い目を擦りながら、大好きな隼人に笑顔を向けた。
その瞬間――。
ゴンッ!!
「いったぁ〜」
突然ゲンコツで頭を叩かれて、眠気は一気に吹き飛ぶ。
叩かれたところを手で押さえながら、涙目になった目で下から隼人を睨みあげて、
「なにすんの……」
罵声をあげようとしたんだけど。
そこまで言ったところで息を呑み、言葉をそれ以上発せられなかった。
えっ……と?
私、何かしたっけ?
目の前の隼人は眉をつり上げて怖い形相で、冷ややかに私を見下ろしていたんだ。