【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
時間ギリギリ。
時計を気にしつつ早足で歩く道。
その途中、不意に小さな花屋が目についた。
あっ!!
そういえば、あの花なんて名前なんだろう?
気になって少し立ち止まり、店内を見渡してみる。
真っ赤なバラ、カーネーション、ユリにかすみ草。
……じゃなくて、鉢植えは……。
パンジーにヒマワリに、
あの紫の花は……。
「あっ!! これかなぁ?」
お店の隅っこにぽつんと置かれたその鉢植えには、小さな花がいくつか咲いている。
五枚の花びらに、澄んだ紫の色をつけている花。
きっと、これだ〜っ!