【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
勿忘草?
何て読むんだろう?
読み方が分からずにその花の前で悩んでいると、お店の中から店員さんが出てきた。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
「あ、すみません、この花って何ていう花なんですか?」
しゃがんでいた体を起こし、その花を指差して店員さんに視線を向けた時だった。
お店の中の時計に目が止まる。
やっばぁ〜い!
時間過ぎてるじゃん!!
「すみません! また来ます!!」
慌てて花屋を後にして、私は駆け出した。
ハァハァ……ハァハァ……。
目にうつる景色が次々と変わっていく。
私はこれ以上ないってぐらい全速力で、あの川へと向かっていった。