【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
「最近あんまり連絡できなくてごめんな」
「仕事だから仕方ないよ。寂しかったけどね!」
笑顔を見せた私を見るなり、力強く抱き寄せてきた隼人。
……その手は、心なしか震えている気がする。
何か、嫌だ。
この雰囲気、怖い。
どうしたの?
隼人……?
心の中で思っていても、何だか怖くてうまく言葉が出てこない。
そんな長い長い沈黙を破ったのは隼人だった。
「凪咲って目が離せないというか、放っておけないというか。傍にいないとだめだよ……な」
力強く抱き締められていて隼人の顔が見えない。
いつも言われていることなのに、どこか不安を感じてしまうのは、いつもと違う隼人の雰囲気のせい?
今どんな顔してるの?
「隼人が傍にいてくれるでしょ?」
返事してよ。
当たり前だろって、ずっと傍にいるって……。
「凪咲……」
その後隼人が口にした言葉は、私の目の前を真っ暗にさせた……。
「ごめん、別れよう……」