【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
隼人は私にとってかけがえのない人だった。
ずっと傍に、ずっと一緒にいられるんだと思っていた。
……けど、実際は違ったんだね。
別れなんていつ訪れるか分からない。
だから、後悔しないようにしないとだめだったんだね。
あの日以来、私は後悔ばかり。
最近、隼人が時折見せていた寂しげな表情。
部屋で感じた違和感。
そして、突然のプレゼント。
すべてが繋がった。
転勤が決まっていたからだったんだ。
今にして思うと分かることなのに、その時は気づいてあげられなかった。
何度も言おうとしてたよね?
私、隼人の何を見ていたんだろう……。
きっと、誰よりもずっと隼人の近くにいたはずなのに。
ごめんね、隼人。
自分自身が嫌になる。
「海外に転勤したって、私は何年でも待ってるよ。
隼人じゃないとダメなの!」
って、何であの時言えなかったんだろう。