【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
「あの〜、すみません?」
呼ばれて振り向くと、そこには小さな花屋さんが見え、あの時の店員さんが立っていた。
「あっ、やっぱり!」
私の顔を見て嬉しそうに微笑んだその店員さんは、お店の方へと駆けていき、一つの鉢植えを持ってきた。
「その花……」
「あの時名前聞いてましたよね? あれから気になってて!」
隼人がプレゼントしてくれた花……。
「この花、私の好きな花でお店にも置いてもらってるんです!
だからあなたが気にかけてくれたことが嬉しくって!
勿忘草……わすれなぐさって言うんです、この花!」
「わすれなぐさ?」
「はい! 別名を
“forget-me-not”
って言うんです。可愛い花でしょ!」
その花を眺めながら、私は隼人のことを思い出していた。
もしかして隼人はここでこの花買ったのかな?
もらった花と鉢植えが似ている。
「あの……。最近この花を買った人っていますか?」
私の突然の質問に店員さんは一瞬不思議そうにしながらも、何かを思い出したかのように顔がパァっと明るくなっていった。
「もしかして……」