【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
「佐倉さんの彼女さん?」
「えっ!?」
今度は私が驚かされた。
「隼人を、佐倉隼人を知っているんですか!?」
そして、飛びつくようにその店員さんに話しかけていた。
「知っているというか、この花をたくさん買ってくれたお客さんだったから、嬉しくて名前聞いたんですよ!」
自然と……涙が零れてきた。
いないはずの隼人を、そこに見たような気になって。
「えっ!? どうしたんですか? 大丈夫ですか?」
突然泣きだした私を見て、アタフタする店員さん。
「すみません……突然泣いてしまって……。彼、転勤で海外行っちゃって……別れたんです」
言葉にすると改めて実感し、涙が余計に溢れてくる。
そんな私を優しくなだめるかのように、店員さんは声をかけてくれた。
「よかったら、少し話しませんか?」