【短編】勿忘草−花に託す愛言葉−
その後は何だか聞いたらいけないような気がして、話しはそこで終わったということだった。
「あの時はその言葉の意味が分からなかったんですが、彼女さんに向けてだったんですね……」
店員さんは少し寂しげな表情で私に微笑みかけた。
私は残っていたオレンジジュースを飲み干して、
「ありがとうございましたっ、また来ます!!」
そう言って急いで店を飛び出していた。
隼人、ごめんね。
隼人も悩んでたんだね?
自分だけがつらいような気がして、隼人の寂しさに気付いてあげられなかった。
隼人の思いを見過ごすところだった。
こんなに思われていたのに……。
信じられなくてごめんね。
あの時、待ってるって言えなくてごめんね。
好きなんて言葉じゃ言い表わせられない。
私、隼人のこと愛してる……。